ホームページ制作を外注したのに、完成品を見て「なんか違う…」と感じた経験はありませんか?
実はこれ、発注側・制作側のどちらかが悪いというより、「伝えたつもり」と「伝わったこと」のズレが積み重なって起きるケースがほとんどです。
Web制作の現場では、ヒアリング不足・言葉の解釈の違い・イメージの共有方法のミスマッチなど、さまざまな要因が絡み合って「思ったものと違う」が生まれます。逆に言えば、発注前の準備と伝え方を少し工夫するだけで、このすれ違いは大幅に減らすことができます。
この記事では、認識ズレが起きる本当の理由を整理したうえで、発注前にやっておきたい準備と、制作会社への効果的な伝え方のコツを具体的に解説します。
結論、外注のすれ違いをなくしたい人には「発注前の言語化と参考事例の共有」が最も効果的です。
「思ったものと違う」が起きる3つの本当の理由
外注トラブルの原因を「制作会社の実力不足」だと思いがちですが、多くの場合はもっと構造的な問題です。認識ズレが起きやすいパターンを3つに整理しました。
① 「なんとなくのイメージ」を言葉だけで伝えようとしている
「シンプルで洗練された感じで」「信頼感があるデザインで」——こういった言葉は、発注側と制作側で全く異なるイメージを想起させます。たとえば「シンプル」でも、テキスト中心のミニマルなサイトを想像する人もいれば、白基調でイラストが入るサイトを思い浮かべる人もいます。言葉は万能ではなく、デザインのニュアンスは視覚的に共有しなければ伝わりにくいのが現実です。
参考になるWebサイトのURLや、気に入ったデザインのスクリーンショットを複数用意するだけで、このズレは格段に小さくなります。
② 「目的」ではなく「手段」だけを伝えている
「コーポレートサイトを作ってほしい」という依頼は手段の指示であって、目的の共有ではありません。制作側が知りたいのは「このサイトで何を達成したいのか」です。採用強化なのか、新規顧客の獲得なのか、既存顧客への信頼醸成なのかによって、サイトの構成・デザインの方向性・載せるコンテンツはまったく変わります。
目的が曖昧なまま進むと、制作会社は「一般的なコーポレートサイト」のセオリーで作るしかなくなり、あなたが本当に解決したかった課題には届かないサイトができあがります。
③ ヒアリングの深さが足りない(制作会社側の問題)
発注側だけの問題ではありません。制作会社のヒアリングが浅いと、表面的な要望だけを吸い上げて制作が進んでしまいます。「欲しいページ数は?」「カラーの希望は?」だけで終わるヒアリングでは、事業の背景や競合との差別化ポイント、ターゲットのリアルな像まで把握できません。
信頼できる制作会社は、「なぜそのページが必要なのか」「どんな人に届けたいのか」「今のサイトで何が困っているのか」を丁寧に掘り下げます。発注先を選ぶ際は、ヒアリングの質も判断基準の一つにすると良いでしょう。
発注前にやっておきたい5つの準備
「思ったものと違う」を防ぐために、制作会社に相談する前に自社でやっておきたい準備があります。事前に整理しておくことで、打ち合わせの質が上がり、制作がスムーズに進みやすくなります。
1. サイトの「目的」を一文で書いてみる
「このサイトを通じて、〇〇な人に〇〇してもらいたい」という形で目的を言語化しましょう。たとえば「地元の30〜40代の個人事業主に、自社のサービスを信頼してもらい問い合わせしてもらいたい」のように具体的に書くと、制作側が方向性を定めやすくなります。この一文があるだけで、打ち合わせの密度が変わります。
2. 参考サイトを3〜5件集める(好き・嫌い両方)
「好きなデザイン」のサイトだけでなく、「このデザインは避けたい」という事例も集めておくと非常に有効です。好き嫌いの両方を見せることで、制作側はあなたの感覚をより正確に掴めます。業種が違うサイトでも構いません。「このサイトの配色のイメージで」「このレイアウトは避けたい」という切り取り方でOKです。
3. ターゲットを具体的に描く
「30代の女性」ではなく、「育児をしながら副業を始めた30代の女性で、スマートフォンで情報収集することが多い」くらいまで具体化すると、デザインや文章のトーン・情報の見せ方が変わります。ターゲットが具体的なほど、制作側も「誰に届けるか」を意識して設計できます。
4. 必要なコンテンツ・ページをリストアップする
トップページ・会社概要・サービス紹介・お問い合わせ、といった基本構成以外に、「実績紹介が必要」「ブログを更新したい」「採用情報を載せたい」など、自社ならではのページ要件を洗い出しておきましょう。載せたい写真や文章の素材がどこまで揃っているかも確認しておくと、スケジュール感の共有がしやすくなります。
5. 競合・同業他社のサイトを調べておく
同じ業種・地域の競合がどんなサイトを作っているかを把握しておくことは、「差別化」を考えるうえで重要です。競合と似たデザインにするのか、意図的に差をつけるのかを制作会社に伝えられると、戦略的なサイト設計につながります。
制作会社への「伝え方」で差がつく3つのポイント
準備が整ったら、いよいよ制作会社との打ち合わせです。せっかく準備したものも、伝え方次第でうまく活かせないことがあります。以下の3点を意識するだけで、打ち合わせのクオリティが大きく変わります。
「なぜ」を必ずセットで伝える
「トップページにスライドショーを入れたい」という要望には「なぜ」が抜けています。「サービスが複数あって、訪問者に全体像を最初に見せたいから」という理由があれば、制作側は「では別の方法でも実現できます」という代替案を提案できます。要望の背景にある意図を伝えることで、より適切な解決策が生まれやすくなります。
「気になる点」は小さくても早めに言う
デザイン案を見て「なんか違うかも」と思っても、「せっかく作ってもらったし…」と遠慮して言えない方が多いです。でも、制作の後半になればなるほど修正コストは上がります。小さな違和感こそ、早い段階で率直に伝えることが大切です。「全体的なトーンが思ったより明るすぎる気がする」くらいの感覚的な言葉でも、プロの制作会社なら汲み取って調整できます。
決裁者が最初から関わる
Web担当者が窓口になって進め、完成近くなって初めて社長が確認する——このパターンで「やっぱり方向性を変えたい」となるケースは多いです。特にデザインの方向性や全体構成を決める初期段階には、最終決裁者が同席して認識をすり合わせておくと、後戻りを防ぎやすくなります。
発注前チェックリスト:これだけ揃えれば準備OK
- 目的の言語化
- 「誰に・何をしてもらいたいか」を一文で書いた
- 参考サイトの収集
- 好きなサイト・嫌いなサイトをそれぞれ2〜3件用意した
- ターゲット設定
- 年齢・職業・行動パターンなど具体的に描いた
- 必要ページのリスト
- 欲しいページと、手元にある素材(写真・文章)を整理した
- 競合調査
- 同業他社のサイトを3件以上チェックした
- 予算・スケジュール感
- おおよその希望納期と予算の範囲を決めた
- 決裁者の確認
- 初回打ち合わせに最終決裁者が参加できる体制を整えた
まとめ:「伝える準備」が、外注の成否を分ける
「思ったものと違う」は、発注側・制作側どちらかの一方的なミスではなく、準備と対話の不足から生まれることがほとんどです。発注前に目的・ターゲット・参考イメージを整理しておくだけで、打ち合わせの質は格段に上がり、完成したサイトへの満足度も変わってきます。
一方で、「どこまで準備すればいいかわからない」「自分では言語化できない」という場合は、ヒアリングに力を入れている制作会社に相談することも一つの手です。課題の本質から一緒に掘り下げてくれるパートナーなら、準備が不完全でも丁寧に引き出してもらえます。
グラフィティーでは、営業スタッフを介さずデザイナー自身がヒアリングから提案まで担当しています。「何を伝えればいいかわからない」という段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。